上村朔之助
上村朔之助

@taikichiro

11 تغريدة 4 قراءة Apr 19, 2023
鳥丸飛五郎と申します。92歳になります。木彫りのオカメインコ職人をしております。ええ、まだ現役で彫らせてもらってます。
私がオカメインコの木彫りに出会ったのは中学生の頃でして、修学旅行で京都へ行ったとき、木彫りのオカメインコに魅せられましてね。その時からオカメインコの木彫りを学びたいなと思うようになったんです。
中学を卒業したあと、親の反対を押し切って、師匠のもとへ弟子入りしました。厳しい人でしたが、オカメインコの木彫りの技術を惜しげもなく教えてくれました。ええ、住み込みでした。一番下っ端でしたから、その頃は50人ぐらいの職人がおったのかな、掃除、洗濯、全員の賄いを作るのも私の仕事でした。
「顔彫り5年、羽根10 年、冠羽20年」と言われるほど、オカメインコの木彫りは奥が深いんです。私は一羽一羽のオカメインコに命を吹き込むように、個性や表情を大切にして、彫るように心がけてます。
でも、我々が作る木彫りのオカメインコは芸術品ではなく、土産屋で売られる民芸品なんです。売れるものでないと意味がないんですよ。だから、私たちは常にお客さんの好みに合わせて工芸品を作らなければなりません。
今では師匠も亡くなり、私が小鳥遊木工所を引き継ぎました。でも、この歳になっても納得する作品が作れてません。どんなに頑張っても、自分の思うようなオカメインコが出来上がらないんですね。それほどオカメインコの木彫りは難しい技術なんです。
死ぬまでにひとつでも納得した作品が作りたいんです。でも、最近考えるんです。本当に納得する作品なんて存在するんやろかって。もし存在するとしたら、それはどんな基準で決められるんやろか。自分自身の感覚だけなんか、それとも他人の評価も必要なんかな。ジレンマみたいなもんがいつもあるんです。
納得するものを作ることは本当に幸せなんやろか。それとも逃れられない呪いなんやろかとか、色々とね。芸術品やない言うても、モノ作ってる人間はみんな少しは考えるのちゃいますか。私はそれでもオカメインコの木彫りが好きですし、この歳になってもオカメインコを彫ることに飽きることはないんです。
来月93歳になりますが、まだまだ満足できません。この世界に入って76年、私の作った製品はひとつも土産屋で売れたことがないんです。全部返品です。ついついオカメインコを彫りすぎてしまうんですよ。頭では分かってるんやけど、ここでええやろってとこで手が止まらへん。そういう性分なんですかね。
自分にはこの仕事は向いてなかったんちゃうやろかて最近になって思うようになりました。覆水盆に返らずですよ。学がないもんやから、この言葉で合ってるか分かりませんけど。この歳にまでなってしまうと、だれも指摘してくれませんしね。
悔いがないとは言いませんが、16歳でこの世界に入って、草を吸いながら、あっ、いまんとこカットしてください(笑)、好きなことだけやってきたんで、ぼちぼち幸せな人生やったんやないでしょうか。
□粗熱大陸Vol.827『鳥丸飛五郎[木彫りオカメインコ職人]』2043年4月19日放送

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